今までの玉置浩二ショーの中でも綾香とのコラボは印象に深く残り、今回もとても楽しみにしていた。
三日月はもちろん、サーチライトがすごく良くて、内心、綾香が歌った方がヒットしたのでないかと思う位、曲と綾香の歌声がマッチしていた。
今回は「行かないで」。
私の感想は、綾香が歌う「行かないで」は“平成の女子”の「行かないで」、玉置浩二の「行かないで」は、“昭和の女の”「行かないで」、と言う感じだった。なので聴いていて、歌う人によって伝わる物語が全然違うのだととても興味深かかった。
綾香の物語は、多分この女子は半年位で失恋の痛手は冷め、次に向かって淡々と進んで行くタイプの女子。
玉置浩二の物語は、数ヶ月後に違う男の人に言い寄られイヤと強く言えず一緒になるも、心の中ではこの人の事がいつまでも忘れられず、10年後に街で後ろ姿を見かけ、頬に伝わる涙をハンカチでそっと拭う女の物語。
この違いを感じた理由の1つは歌い方と言うか、歌詞の発音の違い。綾香の発音はローマ字発音で、子音と母音が別々に聴こえて来る。もっと言えば、母音が強い。
対して玉置浩二の発音はあかさたな発音と言うか、子音と母音はまず別々には聴こえて来ない。それが綾香の歌い方を今風にしているなかなぁと言う気がする。
綾香:い・かあ・なあ・い・でえ
玉置浩二:い・か・な・い・で
でも、一番の綾香と玉置浩二の違いは、“色気”だと思う。とにかく玉置浩二の「行かないで」は色っぽい。私が思うに、男の人から見た時に女性に求める色気と言うのが表現されている感じがする。
変な話し、梅沢富美男の女形って女性以上に色っぽいのと同じような、女だと出し切れない女性の色気が玉置浩二の「行かないで」にはある。
なのでサーチライトは綾香バージョンが好きだったけど、行かないでは玉置浩二バージョンが好きだ。
玉置浩二が醸し出す女の人の色気にどうしようもなく心が惹かれる。
まあ、今は玉置浩二もすっかり落ち着いた訳だけど、やっぱり色恋沙汰と言うのは芸の肥やしになるもんだ、と考えるのは私が昭和の人間だからかなぁー
ちなみにこの曲に限って私は意外とCDバージョンが好き。とにかく玉置浩二のファルセットが切なくてきれい。