最近のニュースを観てると、ジョージオーウェルの小説「1984」に出てくるビックブラザーを思い出す。
例の「Big brother is watching you」と言うやつですよ、いわゆる。
皮肉なのは小説が全体主義の社会の中で、徹底的に体制・当局によって監視され、反体制的な行為・意見・人物が排除されていくのに対して、昨今現実の世界で起きているのは、いわゆる“デモクラシー”と言われる自由を享受してる人々が、政府が規制をしたくてもしきれない位あふれんばかりの情報量がある世の中で起きていると言うことだ。
その自由・情報社会でのBig brotherはSNS、さらにいえばごくごく普通の一般市民であるのだから恐ろしい限りである。
具体的に言うと、高田純次が事故を起こしたニュースで、その事故の相手が高田純次とのやり取りを全てスマホで録音して、こうやって世の中に拡散された。
まあ、確かに高田純次の行動も褒められたものではないが、心情としては分からなくもないし、非常に人間臭い感じである。若干高田純次のファンと言うバイアスも私の中にはある。
しかし、それより被害者の行動の方が正直怖いと感じた。
これではいつどこで誰が録音していてもおかしくない。そして世の中にばらまかれて、「この人悪い人ですよね」と言う同意が集まり、世間の批判にさらされると言う“罰”を受ける。
こうやって良くないことをすると罰を受けると言うのは当然かもしれないが、それでは果たして世の中が良い方向に進んでいるかと考えるとどうもそうでもないような気がする。
高田純次の場合は明らかに高田純次に非はある。
が、他のケースでは、自分の意見を言っただけなのにそれに対して群れて批判が殺到したりするのも見かける。
自由な世の中なのに、まったく自由ではない。同じ意見だけが賞賛される「いいね」と。
今、ユヴァル・ノア・ハライの「サピエンス全史」を読んでいる。所謂われわれ人類のもっとも優れている性質の1つは、「集団で力を発揮する」と言うことだそうだ。
SNSと言うのは、ある意味この性質を利用したこの時代の新しい「武器」であるかもしれない。
おそろしやおそろしや~・・・・かく言う私もこうやってブログを書いているんですけどね・・・。